ジュラシック・パーク Wiki
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  • 当記事では映画と書籍に登場するティラノサウルス全般について解説していく。

シリーズを代表するティラノサウルスこと「レクシィ」については当該リンク、ゲームに登場するティラノサウルスは「ティラノサウルス(ゲーム)」へ、玩具のティラノサウルスは「ティラノサウルス(玩具)」をご参照ください。

概要[]

ティラノサウルス(Tyrannosaurus)は、『ジュラシック・パーク』シリーズすべてに登場する肉食恐竜。

全作品を通して主人公達を(文字通り)食ってかかる恐竜で、知名度はシリーズの中でもトップクラスである。 特に有名なティラノサウルスは1作目とジュラシックワールドシリーズに登場している雌の個体『レクシィ』という。

恐竜データ[]

白亜紀後期の北アメリカに生息していた大型肉食恐竜で、その体長は11メートル、最大で13メートルの個体もいた。 当時の環境において陸上最大級の捕食者であったとされている。

ティラノサウルス 化石
全身骨格

発掘された化石を分析したところ、ティラノサウルスは最大で5トンもの咬合力を発揮できたとされており、彼らが生きていた頃はトリケラトプスエドモントサウルスらが悠然と闊歩していたため、顎を駆使して狙った自身より小型の獲物を骨肉共々噛み砕き、息絶えたその体を貪っていたものと思われる。 事実ティラノに噛まれたであろうトリケラトプスの骨や、粉砕された骨片が紛れた糞の化石が発見されている。 その巨体を支えるべく食べる肉の量も半端なかったらしく、なんと230kgも腹のなかに収めることが出来たという。 これは近所のスーパーで売られているロースステーキ1000パック分に匹敵する。

ティラノサウルス 化石1
頭蓋骨の化石

発見された当初は体格ゆえに、速く走り獲物を狩っていたという説と、こんなデカブツが走れるわけないからスカベンジャーだろ常考という説で争われていた。 というか現在進行形で争われている。 無論ハンター系の原生生物も腐肉食自体は行うしそれが否定されるわけではないが、腐肉食「限定」となるとそれしては噛む力があることと、死骸漁りが主でこのレベルの巨体を維持できるか怪しいこと、骨格や筋肉の量(推定)や歩幅から推測するに、車よりは速くないにせよ最大で20km/hぐらい(ただし「この程度だとトリケラトプスやエドモントサウルスに追いつけない説、短い距離なら40km/hは出せた」のでは?という反論)は出ていたと思われる。 ママチャリの最高速がこれぐらいだと言われているので、バーゲンセールに遅れまいと必死に自転車を漕ぐオバちゃんより遅いかさほど変わらないということになる。 それはそれで走れない以上に残念な結果な気もするが

そんなティラノサウルスであるが近年、近縁種や祖先の化石から意外と鳥と近縁であり、羽毛が生えていた可能性が指摘され、全身が羽毛でフッサフサな復元がされるようになったが、その後皮膚の痕跡が見つかり少なくとも成体の身体の大部分が鱗状の皮膚で覆われていた模様(「少なくとも」というのは幼体の頃や、成体の背中あたりには羽毛があった可能性が否定できないため)。他にも群れで狩りをしていた、共食いをしていたなどなど研究もよく行われておりその度に最新研究によって姿やイメージが二転三転していっている。

ちなみに劇中でよく用いられる「 T-レックス 」という呼称は「ティラノサウルス・レックス」の略称であることは周知の事実だが、これは所謂学名で世界共通の名前として世界に浸透している名称である。[1] つまりティラノサウルスの話をしている際にTレックスと言っている人は、知らず知らずのうちにグローバルな思考を持っているということになる。(それだけ映画の影響が色濃いと言えるのだろうが)

映画における活躍[]

ジュラシック・パーク[]

これもツアーの余興か?

ジョン・ハモンドがオーナーを務めるインジェン社の研究から生まれた恐竜の一体で、琥珀に閉じ込められた蚊の腹部の血液から恐竜のDNAを採取し、これを解析・復元した上で欠損部位を現生のカエルのDNAで補完し、さらにこれをダチョウの未受精卵に注入することで再生された。

劇中ではパークで飼育されていた1頭が登場、無事にオープンしていればパークの目玉として愛されるべき存在となるはずだったが、どこかのデブがフェンスの電源を切ってしまったことにより脱走、たまたま檻の前で立ち往生していたグラント博士一行に襲いかかった。

晴れて自由の身になってからは、車を落としたりトイレに隠れていた弁護士を頭から齧り付いたり、ジープのトップスピード(60km以上)に易々と追いついたり、草原を走るガリミムスを捕食したり、生きてるはずの人間を差し置いて美味しいところを掻っ攫っていったりとやりたい限りを尽くした。しかしそのやりたい放題の結果、ヴェロキラプトルの群れに襲われ絶体絶命のグラント一行を図らずとも助ける結果となった。

ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク[]

来るな!あっちに行け!!

イスラ・ソルナ島に生息していた親子のティラノサウルスが登場、それぞれバックドゥジュニアという愛称がついている。 こちらも作中の数少ない常識人ことハゲたおっさんに襲いかかったり、恐竜ハンター達の寝込みを襲ったり、挙げ句の果てにはロサンゼルスに上陸し出たがりな脚本家こと街に住んでいた若者を食い殺したりと、前作に負けず劣らずな大暴れっぷりを見せた。 ちなみにこの映画に出たティラノはヌブラル島にいた個体とは何ら関係のない別個体である。

ジュラシック・パークⅢ[]

動くな、身動きするな。

イスラ・ソルナ島に生息していたティラノサウルスが登場、ロストワールドに出てきた個体と同一個体かは不明。

のんびりお食事をしていたところグラント博士の一行と遭遇、神聖な場を汚されたからか人間があまりにも美味しそうだったのかは不明だが、追いかけたところでスピノサウルスと遭遇し戦闘となった。 最初こそはベテランの風格を漂わせスピノを押していたものの、わずかな隙を突かれ首筋を噛まれたのちに両腕で頚椎をボッキリと折られ敗北してしまった。 以上がこの作品におけるティラノサウルスの出番全てである。(その出演時間は、90分の尺においてわずか90秒である)

このあまりの展開に従来ファンの一部は烈火の如く怒ったものの、後に明かされた設定では、登場した個体はまだ成人していない若年層だったとされており「スピノサウルスなんてカッペ野郎のかませにするとは何たることか!」とブチギレたファンを多少なだめることに成功したとかしてないとか...

2021年現在では「スピノサウルスは魚食が主・大型の恐竜と争うには不向きな体型であった」という説が有力だが、この映画製作・公開当時はスピノサウルスが強力なハンターであるという説が有力であったという背景も影響していたのだろう。

ジュラシック・ワールド[]

9番パドックを開けて頂戴!

イスラ・ヌブラル島で新たにオープンしたテーマパーク「ジュラシック・ワールド」で展示されている個体が登場。 かつてジュラシック・パークで飼育されていたティラノサウルス(レクシィ)と同一個体で、パーク崩壊から数十年の時が流れていながらも、野生化して生きながらえていた。

普段は「T-レックス・キングダム」なるアトラクション内で生活しており、その勇姿を一目見ようと連日大勢のゲストで賑わっている。

彼女の出番は映画の主軸であるオーウェンラプトル4姉妹との関係やインドミナス・レックスの脱走に費やされてしまったこともあってか一旦終了してしまった。

そして物語も終盤を迎えたその時、ついにファンの待ち望んだ瞬間が訪れた。

飼育エリアから解放され、かつての敵役(骨)を豪快に吹き飛ばし、島に混乱をもたらした存在インドミナス・レックスの前へと立ちふさがり、新旧最強生物の対決が幕を開ける事となった。

序盤こそ咬合力と馬力でインドミナスを圧倒するも、戦闘が進むに連れ体力を消耗し、インドミナスが首元に噛み付いたため地面に倒れ追い詰められる。

しかし、そこに乱入したブルーがインドミナスを攻撃したため形勢が逆転。そのままインドミナスに噛みつき湖エリアの縁に追い詰める。

結果的にインドミナスは湖から飛び出してきたモササウルスに捕食され死亡。レクシィもブルーを攻撃することなく去っていった。

その後、荒廃し恐竜の王国となったジュラシック・ワールドで、空に向かって咆哮していた。

まるで「ここには二度と近づくな」そう言っているかのように…。


ジュラシック・ワールド/炎の王国

全部じゃない...。

パーク崩壊後のイスラ・ヌブラル島に生息しており、島の生態系の頂点に君臨していた。

なお、縄張りに入った者は容赦なく攻撃する性格であり、パークから自然界に解き放たれ彼女の怒りを買った多くのを再絶滅に追いやっている。

前作とは違い序盤からその姿を観客の前に見せており、ヤツの骨を採取するため島を訪れた傭兵軍団に牙をむいた。

が、またモササウルスに美味しいところを持っていかれる。

その後はまた登場しなくなるが、島の恐竜を救いに来ていたオーウェン達一行に襲いかかっていたカルノタウルス闇討ちで一撃ノックダウンし、結果的に数年前島に来た人類と同じように彼らの命を救う。

その後はロックウッド財団によって捕獲、アメリカ本土につくなり早々檻に入れられ、エサのヤギをうまそうに頬張った。そしてメイジーの手によって外の世界に開放され、今作の事件の元凶であるミルズを捕食。そのおこぼれに預かろうとそばにやってきたカルノタウルスを頭突きで撃退し、ヤツの骨を踏み潰すと、森の奥へ消えていった。

その後は、どこかのサファリパークの檻をぶっ壊して中に侵入。雄ライオンと対峙して互いに咆哮をあげていた。


ジュラシック・ワールド/新たなる支配者[]

小物には用無しか。

最新作でも堂々と登場。劇中では「バイオシン・サンクチュアリ」のセコイアの森に生息しており、ギガノトサウルスと鹿を奪い合う描写が見られた。だがギガノトサウルスにパワー負けし、これには堪らず退散。その後燃えた巨大イナゴによる森林火災により避難のため自身もバイオシン・バレー(ドーナツ型のサンクチュアリの恐竜を制御する施設で、ドーナツに当たる穴の部分に恐竜を収納可能。)に避難。再びギガノトサウルスと対峙し、ここで会ったが100年目と言わんばかりに対決を開始。当然今度も力負けし、ここで無残にポックリ逝かれるかと思いきや、ケイラの機転により偶然近くにいたテリジノサウルスと戦うようギガノトサウルスを誘導。テリジノサウルスが応戦している隙にレクシィも復活し、テリジノサウルスに気が引いてる所を首元に噛みつき、最後はテリジノサウルスの長い爪に首がぶっ刺さることでテリジノサウルスと共に勝利の雄叫びを上げた。その後はバレーの外でかつてのソルナの支配者、バック、ドゥと対面し、出番は終了した。

ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ[]

全シーズンを通して登場。 ただし登場する個体は若干異なっており、シーズン1,2,3がレクシィ、4,5がビッグ・イーティーと彼女の娘リトル・イーティーとなっている。

一般的によく知られているレクシィは、密猟者のろくでなしを始末した以外に目立った活躍はしていないが、ビッグ・イーティー親子に関しては物語の内容に終始深く関わっている関係上、かなり出番が多くなっている。

ジュラシック・ワールド/サバイバル・ミッション[]

現在公開されている予告編に登場。

ジュラシック・パーク(小説)[]

原作にも当然ながら出演しており、現在広く使われている『レクシィ』という愛称はここが由来である。

雌の成体と雄の子どもが登場し、その内デカい方は目にも止まらぬ速さで現れたり、ワニのように水中を泳いだりと映画さながら、もしくはそれ以上の活躍を見せた。 しかし途中で麻酔弾ロケットランチャーで眠らされてからは一切出番がなかった上に、意外にも人間を殺したのは幼体の方である。 そのため成体はアクティビティな事をしてた割に不殺主義を貫いていたという、なんとも肩透かしな出番しか与えられていなかった。

結局、その後の展開はラプトルの暗躍などが尺の大部分を占めたため、ティラノはお払い箱となってしまい、最後は島に落とされたナパーム弾によって全ての個体があっけなく殺されてしまった。

ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-[]

映画同様、ティラノサウルス親子が登場。

前作とは打って変わって、今作における彼らは目に写った人間たちを片っ端に襲って殺しにかかるなど不殺主義から一転、徹底した皆殺し路線へと舵を取ることになった。 とはいえ襲われる方も卵を盗もうとするなど酷い所業をしているため、一概にティラノって悪いやつだなとは言い切りなかったりする。

ジュラシック・パークⅢ(小説)[]

映画同様の活躍をしている・・・。 まぁ要するに首をポッキリ折られてしまうのである。

ジュラシック・ワールド(小説)[]

映画のノベライズであるため、活躍はほぼ本編と同じであるが、プロローグとエピローグにてレクシィの独白のような文章が綴られており、人間に捕獲され、そして解放された彼女の心境が伺える。

ジュラシック・ワールド/炎の王国(小説)[]

こちらも映画のノベライズであるため、レクシィが登場。 活躍はさほど変わらない。

シリーズにおけるティラノサウルスの生態[]

インジェン社によって復元されたティラノサウルスは、非常に巨大かつマッシブな筋肉に包まれていると思われがちだが、それは誤りであり実際のところは本来の物よりもかなり細い。 博物館に展示されている骨格に肉をつけてそのまま蘇らせたのならばもっと横に太いのだが、シリーズを通して一貫してひょろひょろである。目も心做しか横についてるように見え、本来の立体視が出来ているのか怪しい。しかしそれでもティラノサウルスは、肉食獣だけが持ち得る凶暴性と殺戮に特化した攻撃力、そして逞しいまでの生命力で満ち溢れている。

目についたものには何でも襲いかかり「これは狩れねェなぁ・・・」と自身が思わない限り、地獄の果てまでついてくる強靭なスタミナを持っている。 それに比例するかのように走力も桁違いで、全速力で走るバギーにすら余裕で追いつくほど足が速い。(ちなみにバギーの速度は60kmまで出せるそうなので、ウサイン・ボルトですらティラノに狙われたら逃げ切ることは不可能である)

獲物を狩る際は持ち前のアゴのパワーとノコギリのような歯を駆使して肉と骨を噛みちぎる。 人間の骨であれば余裕で噛み砕く事ができ、肩の骨から脊髄まで楽々砕く事が可能。 たとえ相手が反撃してきたとしても自身の防御力も高いため、並大抵の攻撃ではビクともしない。 参考までにレクシィの防御力は防弾ガラスですら余裕で砕く事ができるインドミナス・レックスの噛みつきを喰らっても少し血が出る程度で済む。 しかもこれ70代くらいのご高齢の個体が受けた結果である。 人間で言うなら和田アキ子がマグナムを喰らってもなおピンピンしているみたいなものなので、この耐久力はもはや異常というほかない。

身体的な特徴としてひとつ興味深い点があり、それが成体・幼体問わず体が鱗状の皮膚で覆われている事である。 つまり昨今流行りの羽毛の類は一切生えていない。 現実のティラノサウルスは子供時代のみ毛を生やしていた事が最新の研究によって判明しているため、もしティラノサウルスの血液により復元されていた場合ロスト・ワールドに登場したティラノサウルス・ジュニアのように復元されるのはあり得ない事である。 そこだけ欠損していたら辻褄は合うが、ラプトルの背丈が2倍に増えてるシリーズがやる事なので、そういった事を指摘するのはヤワな話であるのかもしれない。

非常に凶暴ゆえに縄張り意識が強く、自身の生息域に他の恐竜がいることを良しとしない。 もし彼女らのナワバリに侵入しようとする者がいれば容赦無く襲いかかり、それによって再絶滅に追いやられた恐竜もいるとされている。 他種には厳しい一面を見せる傍ら、同族に対しては情けを見せる事があり、特に家族意識が非常に強い点が見られる。 一番有名な例がロスト・ワールド/ジュラシック・パークに登場したティラノサウルス親子であり、バックドゥジュニアと呼ばれる個体は互いに強い絆で結ばれている描写が見られる。 特に子供であるジュニアに対しては人間と同じように溺愛しているようで、子供が攫われたと知った時は両親共々探し回り、その犯人を見つけた時は容赦ない制裁を下すなど、親バカというレベルで大事にしている。

制作の舞台裏[]

・原画編[]

映画の制作が決まった1,990年ごろ、ティラノサウルスを映画に登場させるにあたって、特殊効果担当のスタン・ウィンストンは知り合いの「マーク・“クラッシュ”・マクリーリー」に協力を要請。 当時ターミネーター2の制作に携わっていた彼を無理やり引き込むような形で、ティラノサウルスのデザインを描いてもらうように依頼したという。 その間、映画制作スタッフらもティラノサウルスをどのような姿で登場させるかを議論、いくつかの案を出しており、その中にはカエルのDNAが混ざっているという事を強調するためか、両生類っぽいデザインを施す案なども出されていた。 これは劇中にてカエルの遺伝子が恐竜の性転換を促したという設定を視覚的に表すための演出として考え出されたもので、立体の模型サンプルも作られていたが、早々に没となったという。

そうこうしている間に、マーク・マクリーリーが最初のティラノサウルスデザイン画を書き上げ、それをスピルバーグ含めた制作スタッフ陣に見せた。 全2枚あったデザイン画のうち1枚目は無地の背景にティラノサウルスが走っている姿。[2] そしてもう1つが片足を上げて地面に向け咆哮するティラノサウルスの姿であった。 このデザイン画はマークが参考資料などを使わず、脳内でイメージしたティラノサウルスをそっくりそのまま描いたものであり、制作スタッフからもそれなりに評価をもらったそうだが「ガッシリした上半身に対して下半身貧弱すぎじゃね?」というスピルバーグらの意見もあって、遠回しに更なるブラッシュアップを要求されることとなった。

このダメ出しがあったのとほぼ同時期に、スタン・ウィンストン含めた制作スタッフらは古生物学界の関係者やデザイナーをアドバイザーとして数多く招き入れており、マーク・ハレット、ジョン・ガーシュ、グレゴリー・S・ポールらが参加していた。この内、グレゴリー氏は恐竜のデザイナーとして広く名の知れた人物であり、彼が描いたデザイン画は映画に登場したティラノサウルスの造形に強い影響を与えたという。[3]

こうした内外からの協力もあってスタンとマーク・マクリーリーは、ティラノサウルスの最終デザインを数ヶ月かけて作成。 同時進行で13個の模型作成も行いつつ、ようやく現在よく知られているティラノサウルスが完成したワケである。[4]

・立体編[]

ティラノサウルス含め、映画に登場する恐竜たちは当初「ゴー・モーション」と呼ばれる手法で撮影されることとなっていた。 スピルバーグは、この技法の第一人者であるフィル・ティペットを特殊効果スタッフとして招き入れ、とても完成度の高い映像を作成した。

ただこの技法は、存在する恐竜のフィギュアを動かして1つの動画にするいわばパラパラ漫画的な手法で作られる映像であったことから、恐竜たちの動きがカクカクに見えてしまうという欠点が存在していた。 50年前ならいざ知らず、21世紀に入ろうとしている時代においてこれではお客さんを満足させるには至らない。 そう思っていたスピルバーグの元にインダストリアル・ライト&マジックと呼ばれる会社が売り込みをかけてきた。 ここは当時、世間一般はもちろんのこと映画界においても然程認知されていなかったCGIを用いて映像を作ることを生業としていた企業であったのだが、その会社が作ってきたリアルな映像を見てスピルバーグは興味を示し始めた。[5] その後、度重なるテストを重ねて「これはイケる!」と判断したスピルバーグの鶴の一声により、全編ゴー・モーション案はあっさり白紙となり、ティラノサウルス含めた恐竜はCGIで作成される事が決まった。 ただし当時のCGは、まだ黎明期でノウハウ等もほとんどなかったことから、現在のように全編CGIとはいかなかったようで、大概のシーンでは昔ながらのアニマトロニクスも使われている。

なおこの決定を受けて、事実上お払い箱になってしまったフィル・ティペット氏は「これで俺たちの仕事は無くなったな」と呟き、マジで2週間寝込んだという。[6]

・撮影開始編[]

映画にて使用されたティラノサウルスのアニマトロニクスは、上半身と下半身の2種類が存在しほぼ2年かけて作成されたほぼ実寸大のサイズであった。 これほど巨大なサイズのアニマトロニクスを作った経験はユニバーサルにはなかったようで、この映画から約8年後に作成されるスピノサウルスが現れるまで、同社最大級のアニマトロニクスであったとされている。[7]

動作には油圧が採用されており、初めてモーションシミュレーターが実装されたアニマトロニクスでもあった。 撮影は「ワーナー・ブラザーズ・スタジオ ステージ 16」で行われ、細かなトラブルには見舞われたものの[8]、無事に撮影は終了というか予定より4日も早い日程で撮了したというのだから大したものである。

トリビア[]

  • 現在広く知られている「レクシィ」というあだ名は小説版が初出であり、映画版では「ロベルタ」という名前が付いていた。
  • シリーズ全作を通して聞ける、ティラノサウルスの特徴的な咆哮は「犬、トラ、ゾウ、ワニ、ワニ、ペンギン、ライオン」の鳴き声を混ぜ合わせて作成されたものである。
    • 録音を担当したゲイリー・ライドストローム氏いわく「大概の動物は協力的だったけど、唯一ゾウだけは対象が赤ちゃんだったからか、えらく非協力的で1回パオーンって鳴いたら『はい、もういいっしょ? もうやんねェっすよ??』的な態度を取り始めたんだよ」と当時の苦労話を語っている。
    • ちなみにガリミムスを襲うシーンの鳴き声は、前述した録音担当の方が当時飼っていた犬[9]の鳴き声をそのまんま使っている。
      • またティラノサウルスを象徴するあの「ズズゥゥゥ......ン!」という足音は、セコイアの木を切り倒した時の音が使われている。
  • 小説版同様、映画版においても当初ティラノサウルスは死ぬ予定だったらしく、ラプトル討伐もグラント博士一行が何とかする展開が用意されていた。
    • ただ「それだとお客さんは納得しないだろう」とスピルバーグ監督が思ったことによって、現在よく知られるエンディングに置き換わったというのだから、彼の判断は本当に的確であったというほかない。

ギャラリー[]

脚注[]

  1. https://www.kaseki7.com/blog/archives/566
  2. 現物が行方不明なため、詳細不明。
  3. 主にティラノサウルスの骨格、筋肉の構造などのアドバイスを送ったとされる。
  4. ちなみにこの時、グレゴリー・S・ポール氏が描いたデザイン画に対して「修正を加えたい」とスピルバーグ監督とウィンストンが物申したことからグレゴリー氏が激怒。 小競り合いが起こったという。
  5. その時作成された映像は、ガリミムスを追いかけるティラノサウルスの姿であったという。
  6. ただ彼が作った映像自体は、参考資料としてCGI作成に多大なる貢献をもたらしたため、決して無価値だったわけではない。
  7. 企画当初、スピルバーグ監督は「ティラノサウルス丸々1頭作らない?」と凄まじい提案をしていたそうだが、資金+技術的観点から早々に「ムリ!」と見切りをつけたとのこと。
  8. 雨露に濡れて動作不良を起こしたり、頭と首を連結していたシリンダーが破損したという。
  9. 「バスター」という名前のジャック・ラッセル・テリアだったという。

関連項目[]

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